<指定管理料>
指定管理料とは、利用料金(制)だけでは管理・運営に係わる経費が賄われない施設などの場合
に、行政から指定管理者へ支払われる委託費のことです。あらかじめ指定管理者に行わせる業務
内容や、施設の管理・運営に必要と想定される経費総額を積算し、利用料金(制)の採否などを勘
案したうえで、適切な設定が必要となります。
また、指定管理者の提案などに応じて的確な設定ができるように細目ごとに精査し、指定管理者
の自主的な経営努力を見込んでおくとともに、過度の削減により、住民サービスの低下を招くこと
のないよう配慮も必要となります。
<利用料金(制)>
利用料金は、指定管理者にその管理する公の施設の利用に係る料金を当該指定管理者の収入
として収受させることができるものであり、当該利用料金は、公益上必要な場合を除くほか、
条例の定めるところにより、指定管理者が定めるものとなっています。
利用料金制は、平成3年の法改正において、公の施設の管理運営にあたって管理受託者の自立
的な経営努力を発揮しやすくし、また、地方公共団体及び管理受託者の会計事務の効率化をも図
るため創設されたもので、平成15年の法改正においても、利用料金を指定管理者の収入として収
受させることができるとなっています。
指定管理者が利用料金を定めるにあたっては、条例で定められた範囲内(金額の範囲、算定方
法等)で、地方公共団体の承認を得ることが必要であり、指定管理者が完全に自由に定められる
わけではありません。なお、利用料金制を採らない場合の施設使用料は、地方公共団体の歳入と
して徴収委託を受けた指定管理者が利用者から徴収し、地方公共団体へ納付することとなります。
これにより、指定管理者が管理を行うために必要な経費は、以下の三通りの方法となります。
・すべて利用料金で運営する
・すべて設置者たる地方公共団体からの支出金(指定管理料)で運営する
・一部を地方公共団体からの支出金(指定管理料)で、残りを利用料金で運営する
<協定書>
【基本協定書】
地方公共団体と指定管理者の間での定めを規定したものです。指定管理者に公の施設を管理さ
せるにあたっての、業務の範囲や指定管理料(指定期間の総額の上限額)、責任の所在などを定
めたものです。指定管理者制度導入にあたっては、必ずこの基本協定書を締結する必要がありま
す。
【年度協定書】
地方公共団体と指定管理者の間での各年度の定めを規定したものです。指定管理基本協定書と
は別に、各年度の協定を定めたものです。各年度に行う業務内容、指定管理料、及び納付金等に
ついては、この年度協定書に基づき、地方公共団体と指定管理者の間で協議し規定するものです。
<債務負担行為>
≪地方自治法第214条(債務負担行為≫
歳出予算の金額、継続費の総額又は繰越明許費の金額の範囲内におけるものを除くほか、
普通地方公共団体が債務を負担する行為をするには、予算で債務負担行為として定めておか
なければならない。
債務負担行為は、将来にわたる債務を負担する行為であり、債務負担行為として予算で定められ
た事項は、その支出すべき年度において、義務費として歳入歳出予算に計上されることとなります。
指定管理者が管理を行うために必要な経費を、「すべて設置者たる地方公共団体からの支出金
(指定管理料)で運営する」場合と、「一部を地方公共団体からの支出金(指定管理料)で、残りを利
用料金で運営する」場合、地方公共団体から指定管理者に対し支出金(指定管理料)を拠出するこ
ととなることから、後年度以降の支出を義務付けることとなるこの行為は、地方自治法第214条に規
定する「債務を負担する行為」に該当します。したがって、複数年度にかけて地方公共団体から指
定管理者に支出金(指定管理料)を拠出する場合は、債務負担行為を設定する必要があると考えら
れます。